読売新聞 2002.1.28 
「福祉の自販機」で応援 

事務局員として運営にかかわった1991年の世界陸上東京大会。車いす競技で最後にゴールした選手が、六万人の大観衆に向けてガッツポーズを見せた瞬間、感動で涙がこぽれた。「身障者がもっとスポーツを楽しめる環境をつくりたい。身障者のスポーツ参加を支援する「ユニバーサルスポーツ基金(USF)」を創設した動機だった。
自身も陸上選手だった。早稲田大時代、百十M障害の選手として米オレゴン大への留学が決まっていたが、アルバイト中の事故で左足のじん帯を切断した。病院で告げられた医師の言葉は「エキスパート(陸上選手)としては無理」。ベッドで一晩中泣いた。
翌朝、病院のロビーで車いすや松葉づえの若者たちが話しかけてきた。絶望せず、屈託なく語る若者たちを見て、「自分は歩けるし、少しは走ることも出来る。落ち込んではいられない」と元気づけられた。
陸上選手としての夢は失ったが、「新しい目標を探そうと留学は実現させた。一年間の米国生活で目にしたのは、健常者と対等に付き合う身障者の姿だった。「こんな環境を、スポーツでも実現させたいという思いが、帰国後のUSF設立行動へ駆り立てた。
USF財源は、一般寄付に加え、清涼飲料水の自動販売機の売り上げから、5%をメーカーに寄付してもらうというユ二ークなもの。つけた名前は「福祉の自動販売機」だ。
昨年一月ごろから準備を進めた。趣旨に賛同した大手清涼飲料水メーカーと合意が成立。今年に入り、自身が専務を務める福岡市南区の建設会社前に一台、東京都品川区の商店街に一台を置いた。ほかに十台程度を福岡県内や関東に設置することも決まっている 集まった寄付は、身障者参加のスポーツ事業開催や、施設をバリアフリー化する費用に使われる。将来的には、知的障害者、精神障害者、交通遺児なども対象にしたい考えだ。
「だれかを応援するのが好きな性分なんです」「応援」は始まったばかりだ。
基金のお問合せは事務局(092・211・5321)
福岡市南区大楠)