朝日新聞 2001.10.24 
障害者スポーツに夢を 福岡・大久保さんが基金設立 

「けがで一度はあきらめたスポーツがより広い活躍の場を与えてくれた」。福岡市の建設資材会社役員大久保浩明さん(38)は、そう考えている。ハードル選手として活躍したが、米国留学を目前にけがで選手生命を絶たれた。けれども、障害の有無にかかわらずスポーツを楽しめる環境を整えたいと、障害者が参加するスポーツイベントを支援、競技場などのバリアフリー化を呼びかける「ユニバーサル・スポーツ基金」を今秋に設立した。活動資金は一般の寄付のほか、「福祉の自動販売機」と名付けた手法で集める。缶入り清涼飲料自販機のオーナーに協力を求め、売り上げの5%を寄付してもらう。「飲み物を買うことで多くの人に少しずつ負担してもらい、みんなに基金を支えても らいたい」と狙ったアイデアだ。大久保さんは県立春日高校時代、110メートルハードルの県代表として全国総体 に2年連続出場。早稲田大学でも陸上部で活躍した。ところが、多くの名選手が学んだ米国オレゴン大学を目指し、留学資金を稼ごうと アルバイト中、事故で左ひざのじん帯を切断。医師から「選手としては再起不能」と告げられた。病室で一晩泣き明かした。翌朝、松葉づえで院内を歩いていると、「一緒にお茶で も飲みませんか」と、車いすに座った同世代の若者らに声をかけられた。足を切断した人もいたが、障害を感じさせない明るい表情をしていた。「僕は他人より足が速いくらいで、自分が一番と思い込み、周りが見えなかった」。障害者問題に関心を持つようになった。大学を卒業後、日本陸連のスタッフとして、マラソンや大会の準備を担ってきた。東京・国立競技場で91年に開かれた世界陸上では、車いす競走を間近に見た。スタンドの数万人が見守る中、最後にゴールした選手も誇らしげに両手を突き上げ、応援の歓声にこたえる。そんな姿が目に焼き付いた。「障害者が大観衆の中でガッツポー ズをできる場をもっとつくりたい」。基金の構想はそこから生まれた。ユニバーサル・スポーツ基金への問い合わせは電話 092・211・5321 へ。 ホームページのアドレスはwww.usf−npo.org  
【写真説明】  ユニバーサル・スポーツ基金のポスターを手に構想を語る大久保浩明さん=福岡市内で